Timur Sardarov ティムール・サルダロフCEO
MVアグスタが生み出しているニューモデル群は、その方向性を新たにしています。ただ単に、強烈なインパクトを与えるだけにとどまらず、高性能にして扱いやすく、そして快適であることを信条としていこうとしているのです。
というのも、車体が軽量で最高出力が百何十馬力もある現在の多くのスポーツバイクって、ビギナーにとっては怖いだけで、危険でもあるからです。そうした背景もあって、今、我々はもっと多くの人々に親しんでもらえるバイク作りを目指しているのです。新しいブルターレ1000も、どれだけのポテンシャルを秘めているとか、どこからが危険なのかといったことをライダーに教えてくれるものになっています。
もちろん、MVアグスタのお客様が特別でプレミアムなモデルを望んでいらっしゃることは承知しています。ですから、上級モデルの廉価版を作るのではなく、それぞれのカテゴリーにおいて高品位なモデルを充実させていかなければなりません。一方で、我々にはこの2020年で75周年を迎える長い歴史があるのですから、ブランドを大切にしていかなければなりません。私はMVアグスタのブランドイメージを『パフォーマンス&ライフスタイル』と考えています。高性能にしてそれぞれのライフスタイルに合っているということです。
近い将来に描いている計画を具体的に言うと、300、400、600ccの小中排気量クラスの2気筒モデルを2年後に登場させます。価格帯もかなりリーズナブルになるので、より多くのライダーにMVアグスタファンになってもらえると考えています。主軸となっている3気筒ユニットでも、新たに950ccユニットを開発していて、その最高出力は170psを発揮し、こちらも高性能にして扱いやすいという我々のフィロソフィーに沿ったものとなります。
そんな我々のフィロソフィーは、2020年型でその搭載モデルを広げた、オートクラッチのSCS(スマート・クラッチ・システム)にも現れています。乗っていただいたブルターレ1000も、足着き性が改善されているでしょ。このことも我々の取り組みを物語っています。既存の他のモデルも足着き性を改善し、日本の皆様にもより楽しんでもらえるモデルをお届けしていきたいと思っています。